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合同会社設立 節税

合同会社の節税は株式会社と違うのか。税額を決める要素を検証する

この記事で検証すること

「合同会社は節税に有利」という説明が正しいのかを、税額を決める要素ごとに検証する記事です。会社設立の形態を選ぶ段階で読んでいただくことを想定しています。

先に結論の方向を書くと、税額そのものは会社の種類では変わりません。法人税の税率も、法人住民税の均等割も、合同会社と株式会社で同じです。

では何が違うのか。費用の側です。設立費用と、一部の手続きにかかる費用。そこを分けて整理します。個別の判断は税理士にご相談ください。

税額を決める要素を並べる

税額を決める要素を並べるを表したイラスト

法人の税額がどう決まるかを、要素に分けて確認します。会社設立の形態が影響するかを見るためです。

法人が納める主な税は次のとおりです。

  1. 法人税:所得の金額に応じた区分で税率が定められています
  2. 地方法人税:法人税額を基礎として計算されます
  3. 法人住民税:法人税割と均等割があります
  4. 法人事業税:所得などを基礎として計算されます
  5. 消費税:課税事業者である場合に納めます

これらの計算に使われるのは、所得の金額、資本金等の額、従業者数、事業所の所在地といった要素です。

この一覧に、会社の種類は入っていません。合同会社であるか株式会社であるかは、税額の計算要素になっていないのです。

したがって、同じ所得、同じ資本金、同じ従業者数、同じ所在地であれば、合同会社でも株式会社でも税額は同じになります。

会社設立の形態を選ぶ段階で「どちらが節税になるか」という問いを立てると、答えは「変わりません」ということになります。

サラリーマンが会社設立を検討するとき、この点を最初に押さえておくと、形態選びに時間をかけすぎずに済みます。

では、なぜ「合同会社は節税に有利」という説明があるのか。次の節から、要素ごとに確かめていきます。

税額と費用を分けて考えてください「税金が安くなる」という表現と「費用が抑えられる」という表現は、意味が違います。合同会社について語られていることの多くは、後者です。この記事では、その区別をはっきりさせます。

サラリーマンが会社設立の形態を選ぶとき、この点を最初に確認しておくと迷いが減ります。

会社設立の形態を選ぶ場面では、税額と費用が混ざって語られることが多くあります。どちらの話をしているのかを意識しながら読むと、判断の材料が整理できます。この記事では要素ごとに分けて確かめていきますので、ご自身の関心がどちらにあるかを考えながらお読みください。

出典No.5759 法人税の税率 (国税庁/2026年8月22日確認)

法人税の税率は同じです

法人税の税率は同じですを表したイラスト

最初の要素が、法人税の税率です。

法人税は、資本金1億円以下の普通法人について、所得の金額に応じた区分で税率が定められています。年800万円以下の部分と、それを超える部分とで税率が分かれる仕組みです。

この区分に、会社の種類は関係しません。合同会社も株式会社も、同じ区分と税率が適用されます。

国税庁のページで法人税の税率を確認しても、会社の種類による区分は設けられていません。資本金の額と所得の金額で決まる仕組みです。

したがって、同じ所得であれば法人税額は同じになります。合同会社を選んだから税率が下がるということはありません。

会社設立の形態を選ぶ際に「合同会社のほうが法人税が安い」という説明を見かけたら、その根拠を確かめてください。税率表を見れば、区分がないことが分かります。

なお、地方法人税は法人税額を基礎として計算されますので、法人税額が同じであればこちらも同じになります。

法人事業税についても、所得などを基礎として計算されます。会社の種類による区分はありません。

サラリーマンが会社設立をして節税を図る場合、税率の面では形態を選ぶ意味がないということになります。

法人税の申告書の様式も、合同会社と株式会社で分かれてはいません。同じ様式を使い、同じ計算過程をたどります。会計処理についても、会社法上の計算書類の名称に違いはありますが、税務上の所得計算の考え方は共通です。会社設立の形態を変えても、決算と申告の作業量が大きく変わるわけではありません。

出典No.5759 法人税の税率 (国税庁/2026年8月22日確認)

均等割も同じです

均等割も同じですを表したイラスト

二つめの要素が、法人住民税の均等割です。

均等割は、所得の金額にかかわらず、赤字であっても納める必要がある税です。会社設立をして法人が存在している以上、毎年かかります。

総務省の資料で標準税率を確認すると、均等割は資本金等の額と従業者数の区分によって決まります。資本金等の額が1千万円以下で従業者数が50人以下の場合、都道府県民税2万円と市町村民税5万円で年7万円です。

この区分にも、会社の種類は入っていません。合同会社でも株式会社でも、資本金等の額と従業者数が同じであれば均等割も同じです。

自治体によっては超過課税を採用しているところがあり、標準税率と異なる場合があります。ただし、これも会社の種類ではなく所在地による違いです。

したがって、均等割の面でも形態を選ぶ意味はありません。合同会社を選んだから均等割が安くなるということはありません。

会社設立を検討するサラリーマンにとって、この均等割は最初に意識すべき固定費です。節税額から必ず差し引いてください。

なお、資本金等の額を1千万円以下に収めれば区分が低く保たれます。これは形態ではなく資本金の設定の問題です。会社設立の際に決められます。

1千万円を超えると年11万円増えますので、必要がなければ1千万円未満に収めておくほうが有利です。

均等割の区分に使われる資本金等の額には、資本金だけでなく資本準備金なども含まれます。会社設立の際に資本金を1千万円未満に設定していても、その後の増資によって区分が変わることがあります。この点も形態とは関係なく、金額の問題です。

出典地方税制度|法人住民税 (総務省/2026年8月22日確認)

経費として認められる範囲も同じです

経費として認められる範囲も同じですを表したイラスト

三つめの要素が、経費として認められる範囲です。

会社設立によって使えるようになるものとして、役員報酬、退職金、出張日当、社宅などが挙げられます。いずれも法人が別人格であることから生じるものです。

国税庁は役員給与の損金算入について要件を示していますが、その要件に会社の種類は含まれていません。定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当するかが問われます。

社宅についても、契約名義が法人であること、社宅規程があること、役員から適正な家賃を受け取っていること。これらの要件は形態によって変わりません。

出張日当も同様です。出張旅費規程が先にあり、実際に出張した記録があること。合同会社でも株式会社でも同じです。

したがって、経費の範囲という点でも、形態を選ぶ意味はありません。

会社設立をして節税を図る場合、要件を満たす体制を整えることが必要になります。これも形態を問わず同じです。

サラリーマンとして本業を持ちながら、規程をつくり記録を残す作業を続けられるか。この点も形態によって変わりません。

なお、合同会社では「代表社員」「業務執行社員」という呼び方になりますが、税務上は役員として扱われます。呼び方が違うだけです。

会社員が会社設立をする場合、この社会保険の重なりは形態を変えても避けられません。

退職金についても、会社設立の形態による違いはありません。役員としての在任期間や、支給額が不相当に高額でないかといった点が問われます。合同会社の業務執行社員であっても、株式会社の取締役であっても、同じ考え方が適用されます。

出典No.5202 役員等に対する経済的利益 (国税庁/2026年8月22日確認)

社会保険の扱いも同じです

社会保険の扱いも同じですを表したイラスト

四つめの要素が、社会保険です。

日本年金機構の案内によれば、法人の事業所は原則として強制適用事業所とされています。この規定にも、会社の種類は関係しません。

合同会社も株式会社も、役員が一人だけであっても社会保険の適用事業所になります。会社設立をすれば新規適用の届出が必要です。

役員報酬を受け取れば被保険者になり、本業ですでに加入している会社員は二つの事業所で被保険者となります。二以上事業所勤務の届出が必要です。

保険料は両方の報酬を合算した標準報酬月額により決定され、それぞれの報酬に基づいて按分されます。この計算も形態によって変わりません。

したがって、合同会社を選んだから社会保険の負担が軽くなるということはありません。負担を決めるのは報酬の額であり、会社の種類ではありません。

会社設立を検討するサラリーマンが「合同会社なら社会保険が楽」という説明を見かけたら、その根拠を確かめてください。制度上そうした区分はありません。

節税の試算をする際も、社会保険料は形態にかかわらず同じ方法で計算されます。

税・経費・社会保険。ここまでの四つの要素で、形態による違いはありませんでした。

会社員が副業の受け皿として持つ規模であれば、費用の差はそのまま初年度の持ち出しの差になります。

健康保険組合に加入している事業所を選択した場合の手続きも、形態によって変わりません。会社設立をした法人が協会けんぽに加入し、本業が組合健保であれば、組合側にも手続きが必要になります。この点も種類とは無関係です。

出典適用事業所と被保険者 (日本年金機構/2026年8月22日確認)

では何が違うのか

では何が違うのかを表したイラスト

四つの要素で違いがないとして、では何が違うのか。費用の側です。三つあります。

一つめが設立費用です。株式会社は定款の認証が必要で、日本公証人連合会の案内によれば資本金の額が100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外で5万円の手数料がかかります。合同会社にはこの手続きがありません。

登録免許税も違います。株式会社は資本金の額の0.7%で最低15万円、合同会社は同じく0.7%で最低6万円です。

二つめが決算公告です。株式会社には決算を公告する義務があり、官報に掲載する場合は掲載料が発生します。合同会社にはこの義務がありません。

三つめが役員の任期です。株式会社の取締役には任期があり、満了すると同じ人が続ける場合でも重任の登記が必要です。登録免許税がかかります。合同会社の業務執行社員には任期の定めがありません。

合同会社と株式会社で同じものと違うものを比べた図
右側はすべて費用と手続きの話です。税額そのものではありません。

つまり、合同会社を選ぶ理由は節税ではなく、費用と手間の軽さにあります。

合同会社と株式会社で差が出る費用の内訳を示した横棒グラフ
いずれも費用であって、税額ではありません。節税額の試算に混ぜないでください。

機関設計の自由度については、合同会社のほうが高くなります。株主総会や取締役会といった機関に関する規律がないためです。ただし、一人で会社設立をする場合、この違いが実務上の負担として現れることは多くありません。書面の整備という点では軽くなります。

出典Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。 (日本公証人連合会/2026年8月22日確認)

費用の差が節税に見える理由

費用の差が節税に見える理由を表したイラスト

費用が抑えられることと、税額が減ることは違います。ただし、どちらも手元に残る額を増やすという点では同じ効果を持ちます。

設立費用が12万円ほど抑えられれば、その分だけ手元の資金が残ります。決算公告の費用がかからなければ、毎年その分が残ります。

この効果を「節税」と表現している説明があるのだと思います。読者にとっての結果は似ているためです。

ただし、仕組みが違うことは理解しておいてください。税額は所得と資本金等の額で決まり、費用は手続きの有無で決まります。

この区別が重要なのは、判断の材料が変わるからです。税額を減らしたいなら役員報酬の設計を考えることになりますが、費用を抑えたいなら形態を選ぶことになります。

会社設立を検討するサラリーマンが「節税のために合同会社を選ぶ」と考えている場合、実際には費用を抑えているだけです。それ自体は合理的な判断ですが、税額は変わりません。

したがって、節税額の試算に形態による差を含めないでください。含めれば、実際には得られない効果を数えることになります。

含めるべきなのは、設立費用の差と、毎年の公告・登記の費用の差です。これらは実費として計算に入れられます。

なお、日本公証人連合会の案内によれば、2026年12月1日から一定の要件を満たす株式会社について定款認証の手数料が1万5,000円に引き下げられます。設立費用の差は、この改定により縮まります。

サラリーマンとして会社設立を検討する場合、費用の差は実費として計算に入れられます。税額と混ぜないよう注意してください。

費用の差を年数で割って考えると、判断がしやすくなります。設立費用の差が12万円で、10年続けるのであれば年あたり1万2千円です。決算公告の費用が毎年6万円かかるとすれば、こちらのほうが影響が大きくなります。会社設立の形態を選ぶ際は、長く続ける前提で比べてください。

出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月22日確認)

まとめ

まとめを表したイラスト

合同会社の節税について、この記事で検証したことをまとめます。

  1. 法人税の税率:所得の金額と資本金の額で決まります。会社の種類は関係しません
  2. 法人住民税の均等割:資本金等の額と従業者数で決まります。形態による区分はありません
  3. 経費の範囲:法人であることが要件です。種類は問われません
  4. 社会保険:法人であれば適用事業所になります。保険料の計算も同じです
  5. 違うのは費用の側です。設立費用、決算公告、役員の任期に伴う登記の三点です
  6. 費用が抑えられることと、税額が減ることは仕組みが違います

「合同会社は節税に有利」という説明の実体は、費用が抑えられるということです。税額そのものは変わりません。

したがって、節税額の試算に形態による差を含めないでください。含めるべきなのは、設立費用と公告・登記の費用の差です。

そして、会社設立による節税の成否を分けるのは形態ではなく、役員報酬と社会保険の設計です。形態選びに時間をかけすぎず、そちらの検討に進んでください。

この記事の内容について制度と費用は2026年8月22日に国税庁・総務省・日本年金機構・日本公証人連合会のページで確認したものです。定款認証の手数料は2026年12月1日からの改定が案内されています。制度は改正されますので、実際の判断にあたっては各ページで最新の内容をご確認いただき、個別の判断は税理士にご相談ください。

会社員が会社設立の形態を選ぶ判断は、費用と手間で決めてください。

出典No.1400 給与所得 (国税庁/2026年8月22日確認)

税額ではなく、費用で選んでください

合同会社を選ぶ理由は、節税ではなく費用と手間にあります。設立費用が軽く、決算公告と役員の任期に伴う登記がない。この三点です。

税額そのものは変わりませんので、「合同会社にすれば税金が安くなる」という説明を見かけたら、それが何を指しているかを確かめてください。多くの場合、費用の話をしています。

そして、会社設立による節税の成否を分けるのは形態ではなく、役員報酬と社会保険の設計です。判断に迷う部分は税理士にご相談ください。

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