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会社設立 税理士

税理士とどう付き合うか。会社設立後に自分でやる部分を決める

この記事で決めること

税理士に依頼した、あるいはこれから依頼する会社員に向けて、設立後の役割分担を整理する記事です。

依頼すれば全部やってもらえる、というわけではありません。資料の整理、判断の相談、期限の管理。自分がやる部分が残ります。

本業のかたわらで、どこまでを自分の担当にするか。現実的な形を考えます。

依頼しても残る作業

依頼しても残る作業を表したイラスト

税理士に依頼したあと、何が自分に残るかを確認します。

まず、資料の整理です。通帳の記録、請求書、領収書、契約書。これらを集めて渡す作業は自分が行います。

記帳代行を依頼していても、元になる資料は自分で用意する必要があります。

次に、事実の説明です。この支出は何のためだったのか。この入金は何か。税理士は取引の内容を知りませんので、説明が必要になります。

そして、判断への関与です。経費として計上するかどうか、資産をどう区分するか。最終的な判断は法人の側にあります。

さらに、期限の管理です。資料をいつまでに渡すか。これが遅れれば、申告も遅れます。

これらは、依頼しても消えません。

会社設立をした会社員が「税理士に任せたから大丈夫」と考えると、ここで滞ります。

サラリーマンとして本業がある方は、この作業にどれだけ時間を使えるかを見積もってください。

資料を渡す時期を決めておいてください決算日から逆算して、いつまでに何を渡すかを最初に決めておくと確実です。決算日の直後に一年分をまとめて渡すのでは、税理士の側も作業が間に合わないことがあります。月ごとに渡す形にすれば、双方の負担が平準化します。
税理士に任せられる部分と自分に残る部分を比べた図
右側が消えないことを理解しておいてください。

サラリーマンの方が節税を目的に会社設立をした場合、この作業が続けられるかが実際の分かれ目になります。

会社設立をした直後は、届出や口座開設で手一杯になります。それでも記録の仕組みは最初に作っておいてください。会社設立から数か月たってから遡って整理するのは、思った以上に手間がかかります。

会社設立の目的が節税であっても、日々の作業は税務の実務そのものです。この点を最初に理解しておいてください。

出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月22日確認)

記録の残し方

記録の残し方を表したイラスト

記録の残し方について整理します。

取引のたびに記録するのが基本です。数か月分をまとめて処理すると、内容を思い出す時間が余計にかかります。

残すべきものを整理します。

  • 日付、相手方、金額、内容
  • その支出が業務にどう関係するか
  • 契約書や請求書などの証拠書類
  • 重要な判断をした場合、その理由
  • 家事と共用する費用の按分の根拠

二つめが特に重要です。金額だけを記録しても、業務との関連は説明できません。

五つめの按分の根拠も残してください。自宅を事務所として使う場合、床面積や使用時間などの合理的な基準で分ける必要があります。

資産管理を目的とする法人では、判断の記録が特に意味を持ちます。取引の件数が少なく、業務が外から見えにくいためです。

形式は問いません。日付と内容が分かるメモで構いません。

会社員が本業のかたわらで残す場合、短時間で済む形にしてください。長続きしなければ意味がありません。

サラリーマンとして忙しい時期があるのは当然です。その前提で続く仕組みを作ってください。

節税の根拠は、この記録がなければ示せません。サラリーマンとして本業がある方は、短時間で済む形にしてください。

会社設立をして法人で資産を保有する場合、その資産に関する判断も記録の対象になります。なぜ取得したのか、なぜ売却したのか。判断の理由を残しておけば、あとから説明できます。

会社設立から年数がたつほど、記録の量は積み上がります。保存の方法も最初に決めておいてください。

会社設立をした法人の記録は、決算のためだけのものではありません。実体を示す材料でもあります。

保存については、紙のまま保管する方法と、電子的に保存する方法があります。電子的に保存する場合は、その要件が制度として定められています。会社設立の段階でどちらの方法を取るかを決め、税理士に確認しておいてください。あとから切り替えるより、最初に決めるほうが簡単です。

出典法人所得の意義と法人税の納税義務者に関する基本的な考え方(要約) (国税庁/2026年8月22日確認)

法人と個人を分ける

法人と個人を分けるを表したイラスト

実務上、最も重要な点を扱います。

法人の資金と個人の資金を分けてください。

法人の入出金は、法人名義の口座に集約します。

個人の口座から法人の経費を払うと、資金の流れが説明しにくくなります。

逆に、法人の資金を個人が使えば、役員への貸付けか報酬として処理することになります。

国税庁が示すところによれば、役員に対する経済的な利益の供与は給与として扱われることがあります。

したがって、混ぜないことが最も簡単な対策です。

やむを得ず個人が立て替えた場合は、精算の記録を残してください。日付、金額、内容が分かれば、あとから処理できます。

この区別ができていないと、税理士の側でも処理ができません。確認のやり取りが増え、費用も上がります。

会社員が法人を持つ場合、本業の給与が入る口座と法人の口座を明確に分けることから始めてください。

サラリーマンとして家計と法人が近い距離にある以上、意識して分ける必要があります。

節税のために計上した経費も、資金の流れが説明できなければ認められないことがあります。サラリーマンの家計と法人は、意識して分けてください。

会社設立の直後に法人名義の口座を開設し、以後の入出金をそこに集約してください。この一点を守るだけで、説明の難易度が大きく下がります。

会社設立の前から個人の口座で運用していた場合、切り替えの時期を明確にしてください。

立て替えが頻繁に生じるようであれば、法人名義の決済手段を用意することを検討してください。法人のカードや口座からの引き落としにすれば、立て替えと精算の作業そのものがなくなります。手間が減り、記録も自動的に残ります。

出典No.5202 役員等に対する経済的利益 (国税庁/2026年8月22日確認)

相談すべき場面

相談すべき場面を表したイラスト

税理士に相談すべき場面を整理します。

判断をする前に相談するのが基本です。実行してからでは、戻せないことがあります。

税理士に実行の前に相談すべき五つの場面を示したチェックリスト
一つめと五つめは、あとから処理を変えられないことがあります。

一つめが最も重要です。不動産や有価証券の取得は、その時点の処理が以後の年度に影響します。

五つめも先に相談してください。法人から個人へ資金を移す方法によって、課税の扱いが変わります。

顧問契約であれば、随時の相談が含まれることが多くなります。決算のみの依頼であれば、相談は別料金になる場合があります。

契約の範囲を確認したうえで、相談してください。

会社員が本業のかたわらで判断する場合、迷ったら聞くという習慣をつけてください。

節税の効果は、実行の前に確認して初めて確実になります。あとから相談しても遅い場面があります。

会社設立をして最初の一年は、判断に迷う場面が続きます。迷ったときにすぐ聞ける関係を作っておくと、処理の誤りを避けられます。

会社設立をして数年たっても、新しい判断は生じます。

出典税理士に関する情報 (国税庁/2026年8月22日確認)

期限の管理

期限の管理を表したイラスト

期限の管理について確認します。

国税庁の案内によれば、法人税の申告期限は原則として事業年度の終了の日の翌日から2か月以内です。

都道府県と市区町村への申告も必要になります。

税理士に依頼していれば、期限の管理も任せられます。ただし、資料を渡す時期が遅れれば間に合いません。

したがって、自分でも期限を把握しておく必要があります。

役員報酬を決められる時期も、事業年度開始から3か月以内という制約があります。

社会保険については、報酬が変わった場合に所定の届出が必要になることがあります。

株式会社であれば、役員の任期が満了すれば重任の登記が必要です。

これらを一覧にして、決算の予定とあわせて管理してください。

会社員が本業のかたわらで運営する場合、年に一度のことは忘れやすいという問題があります。

サラリーマンの方は、予定表に書き込んでおくのが確実です。

サラリーマンの方は、本業の予定と重ならないよう期限を確認してください。節税の効果は、申告を正しく行って初めて実現します。

会社設立をした年は、設立にともなう届出の期限も重なります。年に一度の作業と、設立時だけの作業を分けて管理してください。

会社設立から一年目の期限を一覧にしておけば、二年目以降はそれを使い回せます。

届出の期限は制度によって異なります。税務の期限、社会保険の期限、登記の期限。担当する役所も違いますので、それぞれ別に管理する必要があります。一枚の表にまとめておけば、抜けを防げます。

出典地方税制度|法人住民税 (総務省/2026年8月22日確認)

費用を抑えるための工夫

費用を抑えるための工夫を表したイラスト

費用を抑えるための工夫を整理します。

一つめが、記帳を自分で行うことです。記帳代行を依頼しなければ、その分の費用が下がります。

二つめが、資料を整理して渡すことです。整理されていない資料を渡せば、その分の作業が費用に反映されます。

三つめが、質問をまとめて行うことです。都度の相談が別料金になる契約であれば、まとめるほうが効率的です。

四つめが、依頼する範囲を定期的に見直すことです。運用が安定して取引が減れば、必要な作業も減ります。

ただし、限界があります。

処理を誤れば、申告の内容が変わります。修正が必要になれば、その手間と費用が生じます。

費用を絞りすぎて実務が回らなくなれば、本末転倒です。

会社員が本業のかたわらで運営する以上、続けられる範囲で決めてください。

節税額から費用を引いた残りで判断するのですから、無理に削るより節税額が十分かを見るほうが本質的です。

節税額から費用を引いた残りで判断する以上、サラリーマンの方は費用の水準も毎年見直してください。

会社設立から数年たてば、運営の型ができてきます。その段階で依頼する範囲を見直せば、費用を適正な水準に近づけられます。

会社設立の初年度と二年目以降で、費用の水準が変わることもあります。

出典No.5759 法人税の税率 (国税庁/2026年8月22日確認)

関係を見直す場面

関係を見直す場面を表したイラスト

税理士との関係を見直す場面についても触れておきます。

依頼先を変えることはできます。

見直しを検討する場面としては、次のようなものがあります。

  • 質問への回答が得られない、あるいは遅い
  • 法人の状況が変わり、必要な専門性が変わった
  • 費用が作業量に見合っていないと感じる
  • 会社員が法人を持つという前提が共有されていない

四つめは、この記事で繰り返し述べてきた点です。独立した人向けの助言しか返ってこないなら、前提が共有されていません。

ただし、変更には引き継ぎの手間が生じます。過去の資料の受け渡し、新しい相手への状況の説明。

そして、決算の直前に変えるのは避けてください。引き継ぎが間に合わないことがあります。

変えるなら、決算が終わった直後が適しています。

会社員が本業のかたわらでこの作業を行うのは負担ですが、合わない状態を続けるほうが長期的には損失になります。

サラリーマンとして長く法人を持つなら、信頼できる相手と続けることに価値があります。

節税の設計まで踏み込んだ助言を受けたいなら、前提を共有できる相手を選ぶことになります。サラリーマンとして法人を持つという状況を理解しているかが目安です。

会社設立を支援してもらった事務所と、その後の顧問を別にすることもできます。設立の実績があるからといって、継続して依頼する義務はありません。

会社設立の相談先と顧問先を分けた場合、引き継ぎの説明は自分で行うことになります。

引き継ぎの際には、過去の申告書と決算書、そして固定資産の台帳などが必要になります。これらは自分の手元にも控えを残しておいてください。依頼先を変えるときだけでなく、何かを確認したいときにも役立ちます。

出典日本税理士会連合会公式ページ (日本税理士会連合会/2026年8月22日確認)

まとめ

まとめを表したイラスト

税理士との付き合い方について、この記事で整理したことをまとめます。

  1. 依頼しても、資料の整理と事実の説明は自分に残ります
  2. 記録は取引のたびに残してください。あとからまとめると余計に時間がかかります
  3. 法人と個人の資金を分けてください。混ざると説明できなくなります
  4. 判断は実行の前に相談してください。あとからでは処理を変えられないことがあります
  5. 期限は自分でも把握してください。年に一度のことは忘れやすくなります
  6. 費用を抑える工夫はありますが、実務が回らなくなれば本末転倒です

税理士に依頼しても、自分がやる部分は残ります。その役割分担を決めておいてください。

決めておかないと、どちらもやらない部分が生まれます。そこが不備になります。

会社員として本業がある以上、時間は限られます。続けられる形を作ってください。無理な分担は長続きしません。

この記事の内容について制度の内容は2026年8月22日に国税庁・総務省・日本税理士会連合会のページで確認したものです。制度は改正されます。契約の範囲や費用は依頼先により大きく異なりますので、実際の分担は依頼先とご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、個別の税務相談ではありません。

節税の効果は、こうした日々の運営の積み重ねで決まります。サラリーマンとして無理のない形を作ってください。

会社設立をして節税を続けるなら、この役割分担を最初に決めてください。

出典No.1410 給与所得控除 (国税庁/2026年8月22日確認)

役割を決めておいてください

税理士に依頼しても、自分がやる部分は残ります。資料を渡す、判断を相談する、期限を守る。

この役割分担を決めておかないと、どちらもやらない部分が生まれます。そこが不備になります。

会社員として時間が限られる以上、続けられる形を作ってください。無理な分担は長続きしません。

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