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副業 会社設立 メリット

副業の会社設立が自分に向いているか。三つの型に分けて確かめる

この記事の切り口

副業の会社設立が自分に向いているかを、事業の性質から考える記事です。金額の目安ではなく、事業がどういう型かという観点で整理します。

同じ利益額でも、事業の性質によって会社設立の意味が変わります。時間を売る仕事なのか、資産を持つ形なのか、投資して育てる事業なのか。それぞれで判断の材料が違ってきます。

会社員が本業を持ちながら運営する前提で見ていきます。個別の判断は税理士にご相談ください。

三つの型という考え方

三つの型という考え方を表したイラスト

副業の会社設立を考えるとき、多くの記事は「利益がいくらになったら」という金額の話をします。それも必要な視点ですが、事業の性質によって答えが変わる部分があります。

この記事では、副業を三つの型に分けて考えます。

  1. 労働集約型:自分の時間と技能を売る形。執筆、設計、コンサルティングなど
  2. 資産保有型:資産を持ち、そこから収益を得る形。不動産、株式、知的財産など
  3. 成長投資型:仕入れや設備に投資して事業を育てる形。物販、サービス開発など

同じ年間200万円の利益でも、この三つでは会社設立の意味が違います。労働集約型では時間の制約が効き、資産保有型では保有の仕方が問われ、成長投資型では資金の流れが変わります。

サラリーマンが副業として行う場合、多くは労働集約型から始まります。本業の技能を活かして仕事を受けるという形です。

会社設立の判断をするとき、まずご自身の副業がどの型に近いかを見極めてください。そのうえで、その型に応じた数字を確認することになります。

なお、複数の型にまたがることもあります。執筆をしながら不動産も持つ、といった形です。その場合は、主たる収益源がどちらかで考えてください。

どの型であっても、法人住民税の均等割と決算の手間という固定費は共通して生じます。総務省の資料で標準税率を確認すると、資本金等の額が1千万円以下で従業者数が50人以下の場合、年7万円です。

では、型ごとに見ていきます。

型を見極めることは、節税の手段を選ぶことにもつながります。型によって効く節税の項目が違うためです。

出典No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得) (国税庁/2026年8月21日確認)

型その一:労働集約型

型その一:労働集約型を表したイラスト

最初の型が、自分の時間と技能を売る形です。サラリーマンの副業として最も多いのがこの型だと思います。

この型の特徴は、収益が自分の時間に比例することです。本業がある以上、副業に割ける時間には限りがあります。したがって、利益にも上限が生まれます。

会社設立を考えるうえで、この上限は重要です。利益が年間で数百万円にとどまるのであれば、固定費を差し引いた残りが小さくなります。

さらに、この型では経費があまりかかりません。パソコンと通信費程度で完結する事業であれば、法人化して経費の範囲が広がっても、使える項目が限られます。

社宅や出張日当といった仕組みも、実際に使う場面がなければ意味がありません。制度として使えることと、実際に使えることは別です。

一方で、この型に向いている面もあります。取引先が法人であることを求める場合、会社設立に意味が生まれます。企業から業務を受託する形であれば、これが該当することがあります。

節税の観点では、本業の給与が高く、副業の利益もある程度ある場合に、税率構造の差が効いてきます。ただし、時間の上限があるため、効果も頭打ちになります。

労働集約型の副業で会社設立を考える場面を整理した図
時間の上限があるため、この型では効果が伸びにくくなります。

サラリーマンがこの型で会社設立を考える場合、取引先の要請があるかどうかが分かれ目になることが多いと思います。

サラリーマンがこの型で副業を行う場合、本業の技能をそのまま活かせることが多く、始めやすい反面、時間の制約が最も強く効きます。

この型では、節税として使える項目が限られます。経費の範囲が広がっても、実際に使う場面がなければ効果は出ません。

出典No.1410 給与所得控除 (国税庁/2026年8月21日確認)

型その二:資産保有型

型その二:資産保有型を表したイラスト

二つめが、資産を持ってそこから収益を得る形です。不動産の賃貸や、有価証券の運用などが該当します。

この型の特徴は、収益が時間に比例しないことです。本業がある会社員でも、規模を大きくできる可能性があります。

会社設立を考える場合、この型では「資産を法人に移すかどうか」という論点が加わります。すでに個人で持っている資産を法人に移すには、譲渡という手続きが必要です。

譲渡には費用がかかります。不動産であれば登録免許税や不動産取得税が生じますし、譲渡による所得が個人側で発生することもあります。移すこと自体にコストがかかるという点が、他の型と違います。

したがって、この型で会社設立を考えるなら、これから取得する資産を法人で持つという形のほうが無駄が少なくなります。すでに持っているものを移すのは、費用対効果の検証が必要です。

また、資産の種類によって法人化の効果が変わります。不動産の賃貸であれば法人で持つ意味が出やすい一方、上場株式の売買については個人と法人で税制が異なりますので、一概には言えません。

国税庁は不動産所得について考え方を示しています。個人で不動産賃貸を行う場合の取り扱いを確認したうえで、法人化した場合と比べることになります。

節税の観点では、所得の分散や、法人ならではの経費の計上といった論点が出てきます。ただし、実体のない管理委託などは否認される可能性がありますので、形だけを整えることはできません。

サラリーマンがこの型で会社設立を考える場合、規模と保有期間が判断の中心になります。長期にわたって保有し、規模も拡大していく見込みがあるなら、法人で持つ意味が出てきます。

会社員がこの型で会社設立を考えるとき、資産をいつ取得するかという時期の問題が加わります。これから買うものを法人名義にするほうが、費用の面では有利になります。

資産保有型では、所得の分散という節税の形が検討しやすくなります。ただし社会保険と扶養への影響を確認してください。

出典No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得) (国税庁/2026年8月21日確認)

型その三:成長投資型

型その三:成長投資型を表したイラスト

三つめが、仕入れや設備に投資して事業を育てる形です。物販やサービス開発などが該当します。

この型の特徴は、利益を再投資することです。稼いだお金をそのまま生活費にするのではなく、次の仕入れや設備に回して事業を大きくしていきます。

会社設立との相性がよいのは、この型です。役員報酬をゼロまたは低めに設定して法人に利益を残せば、その資金を投資に回せます。個人の所得税がかからず、社会保険の負担も抑えられます。

サラリーマンの場合、本業の給与で生活が成り立っていることが多いため、この設計が取りやすいという利点があります。独立している方は生活費を確保する必要があるため、報酬をゼロにするのは難しくなります。

また、この型では経費として計上する項目が多くなります。仕入れ、設備、外注費。法人化によって経費の範囲が広がることの意味も出てきます。

さらに、赤字が出た場合の欠損金の繰越しという仕組みも生きてきます。投資が先行して初年度が赤字になっても、翌年以降の黒字と相殺できます。ただし青色申告の承認を受けていることが前提です。

一方で、この型には在庫や設備を抱えるという負担があります。資金繰りの管理も必要になります。本業を持ちながらこれを回せるかという問題は残ります。

節税の観点では、法人に利益を残す設計が最も生きるのがこの型です。ただし、いずれ個人が受け取る段階で課税されますので、繰り延べという性質も持ちます。

会社設立を考えるサラリーマンのうち、この型に当てはまる方は、比較的早い段階で法人化を検討する意味があります。

成長投資型で法人に利益を残す場合と報酬で受け取る場合を比べた図
サラリーマンは本業の給与があるため、左側を選びやすいという利点があります。

成長投資型は、法人に利益を残すという節税の設計が最も生きる型です。再投資の原資として使えるためです。

出典No.5759 法人税の税率 (国税庁/2026年8月21日確認)

どの型でも共通して残ること

どの型でも共通して残ることを表したイラスト

三つの型を見てきましたが、型を問わず共通して残る論点があります。

一つめが、社会保険です。法人は役員一人でも適用事業所になります。役員報酬を受け取れば被保険者になり、本業と合わせて二以上事業所勤務の届出が必要になります。

日本年金機構の案内によれば、この届出は事実発生から10日以内に被保険者本人が提出することとされています。保険料は両方の報酬を合算した標準報酬月額により決定され、按分されます。

二つめが、就業規則です。会社設立をして代表者になることは役員兼務にあたります。どの型の事業であっても、勤務先の規定を確認する必要があります。

三つめが、維持コストです。均等割は赤字でもかかり、決算と申告の手間は毎年発生します。事業の型によって変わるものではありません。

四つめが、たたむときの負担です。解散と清算の手続きには数か月から一年程度かかり、費用も相応にかかります。

したがって、どの型に当てはまるとしても、これらは判断材料として共通に効いてきます。型による違いは、メリットの側の大きさに現れると考えてください。

サラリーマンが会社設立を検討するとき、この共通部分を先に確認したうえで、型ごとのメリットを見積もるという順番になります。

どの型であっても、節税の効果はこれらの共通の負担を差し引いた残りで測ることになります。

出典複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き (日本年金機構/2026年8月21日確認)

型ごとに見るべき数字

型ごとに見るべき数字を表したイラスト

型が決まれば、見るべき数字も決まります。

型ごとに確認する数字
主に見る数字 会社設立の意味
労働集約型 本業の給与と副業の利益、取引先の要請 税率差と取引条件
資産保有型 資産の規模と保有期間、移転にかかる費用 長期保有と所得の分散
成長投資型 再投資の額、赤字の見込み 法人に残す設計と欠損金の繰越し

※ 一般的な整理です。実際の判断は個別の事情によります。税理士にご相談ください。

労働集約型であれば、本業の給与水準と副業の利益、そして取引先が形態を求めるかどうかを確認します。時間の上限があるため、利益の伸びしろも見ておく必要があります。

資産保有型であれば、資産の規模と、これから何年保有するかを考えます。すでに持っている資産を移す場合は、移転にかかる費用も計算に入れてください。

成長投資型であれば、利益をどれだけ再投資に回すかがポイントになります。法人に残す設計が生きるのは、この再投資があるからです。

いずれの型でも、維持コストと社会保険料を差し引いた残りで判断することは共通しています。均等割と税理士費用で年30万円前後、役員報酬を取れば社会保険料が加わります。

会社設立の判断をするとき、型を見極めたうえでこれらの数字を確認すれば、より実態に即した結論が出ます。

節税額の見積もりは、型に応じた数字を使ってください。労働集約型で資産保有型の前提を使えば、実態と合わなくなります。

出典地方税制度|法人住民税 (総務省/2026年8月21日確認)

型が変わることもあります

型が変わることもありますを表したイラスト

最後に、型は固定ではないという点に触れておきます。

労働集約型で始めた副業が、仕組みをつくることで成長投資型に移ることがあります。自分が手を動かさなくても回る形をつくれば、時間の上限から外れます。

また、労働集約型で得た資金を資産に振り向ければ、資産保有型の要素が加わります。副業の利益で不動産を取得するといった形です。

事業の性質が変われば、会社設立の意味も変わります。いまは向いていないと判断した方も、数年後には状況が変わっているかもしれません。

逆に、会社設立をしたあとに事業の性質が変わり、法人を持つ意味が薄れることもあります。その場合は、たたむことも選択肢に入ります。

サラリーマンの場合、本業の状況も変わります。昇給によって税率帯が上がれば、会社設立の効果が変わります。転職すれば就業規則も変わります。

したがって、年に一度は見直す機会を持ってください。事業年度の切り替え時が、その機会になります。役員報酬もそのタイミングで決めることになりますので、あわせて検討できます。

節税の設計は、一度決めて何年も使い回すものではありません。前提が変われば、最適な形も変わります。

税理士に継続して見てもらう体制があると、この見直しが楽になります。会社設立の際に依頼先を決めるとき、そこまで含めて相談してください。

事業の型が変われば、有効な節税の手段も変わります。年に一度の見直しで、そこも確認してください。

出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月21日確認)

まとめ

まとめを表したイラスト

副業の会社設立が向いているかについて、この記事で整理したことをまとめます。

  1. 労働集約型:時間が上限になるため、効果が頭打ちになります。取引先の要請があるかが分かれ目です
  2. 資産保有型:規模と保有期間が判断の中心です。すでに持つ資産を移すには費用がかかります
  3. 成長投資型:会社設立との相性がよい型です。法人に利益を残して再投資する設計が生きます
  4. 型を問わず、社会保険・就業規則・維持コスト・たたむときの負担は共通して残ります
  5. 型によって見るべき数字が変わります。同じ指標では判断できません
  6. 事業が育てば型も変わります。年に一度は見直してください

会社設立の判断というと金額の話になりがちですが、事業の性質によって同じ金額でも意味が変わります。まずご自身の副業がどの型に近いかを見極めてください。

そのうえで、型に応じた数字を確認し、維持コストと社会保険料を差し引いた残りで判断する。この順番であれば、実態に即した結論が出ます。

サラリーマンとして本業がある以上、急ぐ必要はありません。事業が育ち、条件が揃ってから改めて検討しても遅くありません。

この記事の内容について制度と数字は2026年8月21日に国税庁・総務省・日本年金機構のページで確認したものです。制度は改正されます。実際の判断にあたっては、リンクした各ページで最新の内容をご確認いただき、個別の判断は税理士にご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説です。

サラリーマンの節税は、会社設立だけが手段ではありません。型を見極めたうえで、個人のままでできることも含めて比べてください。

出典No.1400 給与所得 (国税庁/2026年8月21日確認)

型を見極めてから、数字を見てください

会社設立の判断というと、いくら儲かったらという金額の話になりがちです。しかし、事業の性質によって、同じ金額でも意味が変わります。

ご自身の副業がどの型に近いかを見極めたうえで、数字を確かめてください。型によって、見るべき数字も変わってきます。

そして、どの型であっても、維持コストと社会保険の論点は共通して残ります。判断に迷う部分は、事業の内容を伝えたうえで税理士にご相談ください。

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