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サラリーマン 会社設立

会社設立のあとサラリーマンが毎年やること。決算・申告・年末調整と確定申告の両方

この記事の対象

会社設立を検討している、あるいは設立したばかりの会社員の方に向けた記事です。設立の手続きより、そのあと毎年続く作業のほうが総量としては大きくなります。そこを先に把握しておくための記事です。

節税を目的に法人を持つ場合、この毎年の作業を続けられるかどうかが現実的な分かれ目になります。本業を持ちながらどこまで自分でやるのか、どこから税理士に任せるのかを判断するための材料を並べます。

手続きの期限や様式は変わります。本文には確認した日付を書いていますが、実際に手を動かされるときは一次情報で最新の内容をご確認ください。個別の判断は税理士にご相談ください。

会社設立の翌日から始まること

会社設立の翌日から始まることを表したイラスト

登記が完了して会社設立が済んでも、そこで手続きが終わるわけではありません。税務署、都道府県、市区町村、年金事務所への届出が待っています。

国税庁は新設法人が提出する届出書類を案内しています。法人設立届出書のほか、給与支払事務所等の開設届出書、青色申告の承認申請書などが挙げられます。

このうち、青色申告の承認申請書には期限があります。期限を過ぎると、その事業年度は青色申告ができません。青色申告では欠損金の繰越しなどの取り扱いが認められますので、会社設立の初年度に赤字が出る可能性を考えると、影響は小さくありません。

サラリーマンの場合、平日の日中に動きにくいという事情があります。届出のなかには電子申告で提出できるものがありますので、会社設立の準備段階でどれがオンラインに対応しているかを調べておくと、期限に追われずに済みます。

会社設立の直後に必要になる届出を時系列で示した図
期限のあるものから先に片づけるのが安全です。とくに青色申告の承認申請は忘れないでください。

これらを済ませて、ようやく通常の運営が始まります。ここから先が、毎年繰り返されることになります。

会社設立の直後は、節税の効果を実感する場面がほとんどありません。出ていくお金と手続きが先に来て、税負担が軽くなるのは決算を迎えてからです。この時間差を知らないと、会社設立をしたこと自体が失敗だったように感じられます。順番として当然のことだと理解しておいてください。

出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月21日確認)

毎月やること。帳簿と源泉徴収

毎月やること。帳簿と源泉徴収を表したイラスト

法人を持つと、日々の取引を帳簿につけることになります。個人事業主の記帳と考え方は似ていますが、法人の場合は法人と個人が別人格ですので、お金の出入りをはっきり分ける必要があります。

会社設立をしたら、法人名義の口座を開設し、事業の入出金はそこを通すのが基本です。個人の口座と混ざると、あとから区別するのに時間がかかります。サラリーマンの副業法人では、本業の給与が入る口座と混同しないよう注意が必要です。

役員報酬を支払っている場合は、源泉徴収と納付が加わります。報酬から所得税を差し引いて預かり、これを国に納めます。納付は原則として支払った月の翌月10日までです。給与を支払う人数が少ない場合、納期の特例という制度により年2回にまとめることが認められることがあります。

納期の特例は申請が必要です給与の支給人員が常時10人未満である場合、源泉所得税の納付を年2回にまとめる特例を申請できます。会社設立の届出と一緒に申請しておくと、毎月の作業が減ります。サラリーマンとして本業を持ちながら運営する場合、月次の作業が減る意味は小さくありません。

帳簿づけを月ごとに済ませておくと、決算の作業が軽くなります。逆に一年分をためると、決算期に本業と重なって身動きが取れなくなります。会社設立の段階で、月に一度は帳簿に向かう時間を確保できるかを考えておいてください。

法人と個人のお金を分ける意味

会社設立をしたあと、法人のお金を個人の用途に使ってしまうと、役員貸付金という扱いになります。これが積み上がると、決算のたびに説明が必要になり、税務調査の際にも確認される項目になります。節税のために法人を持ったつもりが、余計な論点を抱えることになりかねません。

サラリーマンの副業法人では、本業の給与という別の収入があるため、生活費は本業でまかなえることが多いはずです。法人の資金には手をつけないという原則を最初から徹底しておくと、あとの手間が大きく減ります。

出典No.2508 給与所得となるもの (国税庁/2026年8月21日確認)

年に一度の決算と法人税の申告

年に一度の決算と法人税の申告を表したイラスト

事業年度が終わると、決算を組みます。帳簿を締め、決算書を作成し、そこから法人税額を計算して申告します。申告期限は原則として事業年度の終了の日の翌日から2か月以内です。

個人の確定申告を経験していても、法人税の申告はかなり性質が違います。別表と呼ばれる書類が複数あり、会計上の利益から税務上の所得を計算する調整が必要になります。サラリーマンが本業のかたわらで独学で行うには、負担が大きい部分です。

申告は税務署だけではありません。法人住民税と法人事業税について、都道府県と市区町村にも申告します。ここで、赤字であっても均等割が発生します。総務省の資料で標準税率を確認すると、資本金等の額が1千万円以下で従業者数が50人以下の場合、都道府県民税2万円と市町村民税5万円で年7万円です。

決算期に発生する主な作業
やること 提出先 期限の目安
決算書の作成 (社内) 事業年度終了後
法人税の申告と納付 税務署 事業年度終了の日の翌日から2か月以内
法人住民税・法人事業税の申告 都道府県・市区町村 同上(自治体の案内による)
消費税の申告(課税事業者の場合) 税務署 課税期間の末日の翌日から2か月以内

※ 期限は原則的な取り扱いです。延長の特例には手続きが必要です。詳細は国税庁および各自治体の案内でご確認ください。

この作業を税理士に依頼する場合、顧問料とは別に決算料がかかるのが一般的です。会社設立の前に見積もりを取り、年間の総額を把握しておくと、節税額との比較がしやすくなります。

決算の作業量は、事業の規模というより取引の件数で決まります。会社設立をしたばかりで取引が少ないうちは、それほど時間はかかりません。ただし初年度は、開業費の処理や減価償却の設定など、初回だけ発生する判断が入ります。ここを誤ると翌年以降にも影響しますので、初年度こそ専門家に見てもらう価値があります。

節税という観点では、決算期に何ができるかは限られています。期末間際に慌てて支出を増やしても、実態が伴わなければ否認の対象になります。会社設立から一年を通して計画的に進めることが、結果として無理のない節税につながります。

出典No.5759 法人税の税率 (国税庁/2026年8月21日確認)

社会保険の手続き。本業と重なる部分

社会保険の手続き。本業と重なる部分を表したイラスト

役員報酬を支払っている場合、社会保険の手続きが毎年発生します。代表的なのが算定基礎届です。標準報酬月額を見直すために、毎年決まった時期に提出します。

サラリーマンの場合、ここに本業との重なりが加わります。本業で厚生年金と健康保険に加入したまま、設立した法人からも役員報酬を受け取ると、二つの事業所で同時に被保険者になります。この場合、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、主たる事業所を選びます。

保険料は、両方の報酬を合算した標準報酬月額をもとに決まり、それぞれの報酬額に応じて按分されます。本業側の保険料の計算にも影響が及ぶということです。

勤め先に伝わらない形にはできません按分の仕組み上、手続きには両方の事業所が関わります。会社設立を勤め先に知られないまま役員報酬を受け取るという想定は成り立ちません。当サイトは隠す方法を扱いません。就業規則を確認し、必要なら事前に相談してください。それが結果的にいちばん安全です。

役員報酬を取らない選択をすれば、法人側で被保険者にはならず、これらの手続きは発生しません。手間という観点では軽くなりますが、法人に残した利益を個人が受け取る手段が限られます。節税の設計と手間の量は、ここで連動します。

社会保険料は、節税の計算をするときに見落とされやすい項目です。税金だけを比べると法人が有利に見えても、保険料の増加を足すと逆転していることがあります。会社設立による節税を見積もるときは、税と保険料を必ず合わせて計算してください。

出典2-4:被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき (日本年金機構/2026年8月21日確認)

本業の年末調整とは別に、確定申告が必要になる

本業の年末調整とは別に、確定申告が必要になるを表したイラスト

会社設立をしたサラリーマンが見落としやすいのが、この点です。本業の年末調整だけでは完結しなくなります。

国税庁は年末調整の対象となる人の範囲を示しています。年末調整は、その勤務先から支払われる給与について行われるものです。二か所以上から給与を受けている場合、主たる勤務先で年末調整を受けたうえで、確定申告によって全体を精算することになります。

法人から役員報酬を受け取っていれば、これは給与所得にあたります。本業の給与と合わせて、自分で確定申告をすることになります。会社員だから年末調整で終わり、という前提が崩れるわけです。

役員報酬を取っていない場合でも、法人の申告は別途必要です。個人としての確定申告が不要になるだけで、作業が消えるわけではありません。

会社設立の前と後で個人の税務手続きがどう変わるかを比べた図
手続きが二本立てになります。節税額と、この手間を並べて考えてください。

確定申告が必要になることは、手間が増えるという意味では負担ですが、悪いことばかりではありません。医療費控除やふるさと納税の申告など、年末調整では対応しきれない部分をまとめて処理できるようになります。会社設立を機に、ご自身の税の全体像を把握するきっかけと捉えることもできます。

とはいえ、申告の内容は会社設立の前より複雑になります。節税を意識するのであれば、どの所得をどこに帰属させるかという判断が絡んできますので、初年度は税理士に確認しながら進めるのが安全です。

出典No.2665 年末調整の対象となる人 (国税庁/2026年8月21日確認)

一年の流れとして並べてみる

一年の流れとして並べてみるを表したイラスト

ここまでの作業を、一年の流れとして並べます。事業年度をどこに置くかで時期は変わりますが、順番と間隔の感覚をつかむための整理です。

会社設立後の一年間の作業の流れを示した図
これに加えて、社会保険の算定基礎届と、個人の確定申告が別の時期に入ります。

サラリーマンにとって重要なのは、決算と本業の繁忙期を重ねないことです。事業年度は会社設立のときに自由に決められますので、ここで設計しておくと後が楽になります。

たとえば本業が年度末に忙しい職種であれば、法人の事業年度を3月末以外に置くという考え方があります。決算作業は決算日から2か月ほど続きますので、その期間に本業の山が来ないようにします。

すでに会社設立を済ませている場合でも、事業年度の変更は可能です。定款を変更し、届出をすることになります。手続きの手間はありますが、毎年の負担が続くことを考えれば検討する価値があります。

出典No.5100 新設法人の届出書類 (国税庁/2026年8月21日確認)

自分でやるか、税理士に任せるか

自分でやるか、税理士に任せるかを表したイラスト

毎年の作業を、どこまで自分でやるか。会社設立の前に決めておきたい点です。

記帳を自分で行い、決算と申告だけを依頼するという形が、費用を抑える一般的な進め方です。会計ソフトを使えば記帳の負担はかなり軽くなります。一方、記帳から申告まですべて任せる形にすれば、費用は上がりますが時間は確保できます。

記帳と申告をどこまで自分でやるかを整理した4象限の図
サラリーマンの場合、本業の忙しさが読める人ほど自分でやれる範囲が広がります。

役員報酬の設計や、社会保険の届出については、自分で判断しにくい部分です。とくに会社員は本業との重なりがあるため、一般的な解説がそのまま当てはまらないことがあります。ここは専門家に確認しながら決めるほうが確実です。

税理士費用は毎年の固定費として、節税額から差し引かれます。会社設立の判断をするときは、この費用を含めた総額で比べてください。

税理士に依頼する範囲を決めるとき、節税の相談を含めるかどうかも論点になります。記帳と申告だけを頼む形であれば費用は抑えられますが、役員報酬の設計や社会保険との兼ね合いまでは踏み込んでもらえないことがあります。会社員が会社設立をする場合、まさにその部分が難しいところですから、契約の範囲を事前に確認しておいてください。

出典No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分) (国税庁/2026年8月21日確認)

まとめ

まとめを表したイラスト

会社設立のあとにサラリーマンが毎年行うことを、この記事では次のように整理しました。

  1. 設立直後:税務署・自治体・年金事務所への届出(青色申告の承認申請は期限に注意)
  2. 毎月:帳簿づけと、役員報酬を払う場合の源泉徴収・納付
  3. 決算期:決算書の作成、法人税・法人住民税・法人事業税の申告(終了後2か月以内が原則)
  4. 毎年:社会保険の算定基礎届、本業と重なる場合は二以上事業所勤務の届出
  5. 年に一度:本業の年末調整とは別に、自分の確定申告

会社設立そのものは一度で終わりますが、これらは法人がある限り続きます。節税額から、この手間と費用を差し引いた残りで判断してください。

最後に一点。毎年の作業を続けられるかどうかは、体制の問題です。自分でやる範囲と任せる範囲を決め、聞ける相手を確保しておく。それができていれば、会社設立は現実的な選択肢になります。

この記事の内容について手続きと期限は2026年8月21日に国税庁・日本年金機構・総務省などの案内で確認したものです。制度と様式は変わります。実際に手続きをされるときは、リンクした各ページで最新の内容をご確認ください。当サイトは一般的な解説であり、個別の税務相談ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。

出典No.1400 給与所得 (国税庁/2026年8月21日確認)

続けられる形にしてから、会社設立を

会社設立の手続きは数週間で終わります。しかし、そのあとの決算と申告は、法人がある限り毎年続きます。サラリーマンとして本業を持ちながら、この作業を何年も続けられるかどうか。ここが節税の話より先に確かめるべきところです。

自分でやるか、税理士に任せるか。任せるなら費用がいくらか。その費用を差し引いても節税額が残るか。この順番で考えれば、会社設立をすべきかどうかの答えは自然に出ます。

毎年の運用は、慣れれば負担が減る部分もあります。ただし最初の一年は分からないことが続きます。判断に迷ったときに聞ける相手を確保しておくと、続けやすさがまったく変わります。

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